今野郁男らしき人物がカンボジア王国内で刑事手続により拘束されているとの報道がありました。

 2022年1月14日付のKhmer Times(クメール・タイムズ。2014年5月創刊のカンボジア王国内の英字新聞)は、「Kuno Kakaka」なる人物が、カンボジア王国内での犯罪行為についての刑事裁判の有罪判決等により拘束されているとの報道をしました。

【Khmer Timesの記事】
Convict who escaped from hospital, arrested(January 14, 2022 Khmer Times)
(弁護団翻訳:病院から逃走した受刑者が逮捕された)


 記事内の人物写真の容貌(2021年10月の写真とされています)や、「Kuno Kakaka」との氏名、今野郁男の現状についてこれまで弁護団に寄せられている情報との整合性から、今回の記事は、今野郁男に関する記事であると思われます。
(今野郁男は、カンボジア国籍の取得時にクメール語での氏名に改名しており、アルファベット表記では「KONNO KAKADA」です。今回、裁判所報道官が発表したクメール語の氏名を記者がアルファベット表記する際に「Kuno Kakaka」とした可能性があります。)

 今回の記事の報道内容は以下のとおりです(一部、弁護団が内容を補足しています)。

1)
 Kuno氏は、プノンペンのプランピマカラ地区に居住していた不動産・マンション建設投資家で、多数の投資者が、2018年から2019年の間に、同氏の運営するマンション・アパート建設プロジェクトに合計1,000万ドル以上を出資したが、実際には投資対象のプロジェクト自体が存在していなかった。
2)
 被害者は、2019年に内務省の内部治安警察に被害申告をし、同氏は、2020年7月16日にタイで逮捕され、プノンペンのカンボジア警察に引き渡された。
3)
 同氏は、2021年中に、プノンペン市裁判所において、4件の起訴事件(詐欺、無免許による証券取引、マネーロンダリングほか)、それぞれ1年から4年の懲役刑を言い渡され、受刑中であった。
4)
 同氏は、受刑中の2021年10月に体調を崩し、治療のため10月12日からプノンペン市内の病院に入院していたが、その後、病院から逃走した。
5)
 裁判所の捜査裁判官は、同氏の再逮捕のために10月19日に逮捕状を発行し、同氏は、2022年1月10日にダウンペン地区で逮捕された。
6)
 2022年1月13日、同氏はプノンペン市裁判所で「逃走罪」(カンボジア王国刑法560条、561条。法定刑1年以上3年以下の懲役及び500米ドル以上1500米ドル相当以下の罰金刑)で起訴された。「逃走罪」について有罪判決の場合の量刑は、1年から2年の懲役刑となる見込みである。

 今回報道されたKuno氏が今野郁男本人であるかどうかの最終確認は、さらなる報道等を待たねばなりません。

 しかし、いずれにしても、今野郁男が日本で実行し、多数の高齢者から莫大な金銭を騙し取ったカンボジア不動産投資被害事件(弁護団が把握するだけでも被害者100名、被害総額20億円以上)については、多くの事件関係者が逮捕・起訴され、服役等による制裁を受けているにもかかわらず、今野郁男自身は日本で責任を負うことないままの状態であり、今なおカンボジア王国内に所在するとされています。
 弁護団では、日本において今野に刑事責任や、民事責任(民事判決は確定しています。詳しくはこちらをご覧下さい。)を負わせるべく、引き続き今野郁男の動静に注目をし続けます。

※ところで、記事では、Kuno氏について、日本国籍とカンボジア国籍の二重市民権(国籍)を持つとしています。
 今野郁男については、2013年6月29日にカンボジア王国国王の勅令により自らの意思でカンボジア王国国籍を取得しています。そして。今野自身が、2014年5月にカンボジア国籍取得の事実をカンボジア日本大使館に届け出たことにより、日本政府は、今野郁男が日本の国籍法により日本国籍を喪失した事実を認知しました。
 この今野自身による日本大使館への届出は、今野が、在カンボジア大使館を通じた民事訴訟の訴状等の送達を2014年4月ころに「受領拒否」した後に行われたものです。

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