当弁護団では、下記のとおり、本件で詐欺に用いられた電話番号に関与した事業者と
その役員らに対して、新たな訴訟を提起しました。
記
【係属部】 東京地方裁判所 民事第41部
【原 告】 10名
【訴 額】 1億3455万7500円(弁護費費用相当額の損害を含む)
(原告全体の被害1億9222万5000円の7割)
【被 告】 電話転送業者等及びその役員合計19名
【第1回】 平成29年4月12日(水)13時15分から615号法廷
これらの電話番号は、NTTなどの「キャリア」と呼ばれる事業者からの複数の
電話転送事業者等の介在を経て、最終的に「架け子」と呼ばれる勧誘者が利用して
いたものです。
従来から、「キャリア」と最終利用者との間に複数の事業者を介在させた電話番号
は、直接被害者に詐欺等の違法行為を行う主体の特定を困難にすることから、詐欺
等の犯罪になくてはならないものとして広く用いられて社会問題化していました。
警察庁によれば、平成21年には振り込め詐欺の検挙件数のうち、39%におい
て電話転送サービスが用いられていたところ、昨年末に、キャリアが詐欺に悪用さ
れた5900もの回線を強制的に解約するなど、被害防止への取組が進んでいます。
訴訟を通じた問題解決という側面では、これまでも、最終利用者に直接電話番号
を提供した事業者に対しては、違法行為を幇助したなどとしてその責任を認めた判
決はありました。しかし、当該電話番号には、他にも複数の事業者が関わっている
ため、いわばトカゲのしっぽ切りのような状態で、次から次へと新たな事業者が現
れて同様の行為を行っており、根本的な解決には至っていませんでした。
そこで、当弁護団では、当該電話番号を直接詐欺業者に提供した事業者に加えて、
「キャリア」を除く全ての事業者を被告としました。より上位の事業者を被告とす
ることで被害救済の実効性を高めるとともに、違法行為に用いられるツールの適正
なあり方を問うことにより、電話転送事業者などが安易に詐欺等の違法行為に加担
することの抑止をも企図するものです。
このように本訴は、被害救済にとどまらず違法行為の抑止の面でも大きな社会的
意義を有するものです。第1回口頭弁論期日は4月12日13時15分(東京地裁
615号法廷)に予定されております。是非とも関心を持っていただき、傍聴等の
ご協力をお願いいたします。