【刑事公判】9月6日の公判期日で、被害者の方が意見陳述を行いました。

■本日、9月6日(火)の刑事公判(①FIRST社代表者A、同副社長B、
②架け子J、架け子K、架け子Lの双方の期日)において、被害者1名
の方が法廷で意見陳述を行いました。
また、被害者の方のうち6名の方が意見を記載した書面を提出しました
(裁判長が書面を代読しました)。
これらの被害者の意見は、情状事実として量刑に影響を与えるものと
されています(刑事訴訟法292条の2)。

■被害者の方は、それぞれ、詐欺により騙し取られたお金が自分自身にとって
どれだけ大切なお金であったのか、詐欺によって手元資金がなくなったり、
さらに借金を背負ってしまったことにより、現在の生活がどのような苦境に
立たされているのか、被害者に対する怒りと、反面として自分
自身を責める気持ちといった現在の心境などを述べました。
また、多くの方が、被告人らに対して厳罰を求めるとのお気持ちを述べて
いらっしゃいました。

■法廷で被害者の方が行った意見陳述の全文をご紹介します(一部匿名としています)。
私は,今回のカンボジア不動産投資についての詐欺事件で,大きな被害を受けました。
ここで,今私が思っていることを裁判官様に聞いていただき,私に被害を被らせた被告人達に重い処罰をしていただきたいと思っております。

私は,老後の蓄えとして貯めていたお金を600万円騙し取られました。
●●証券●●支店の●●などと,偽の肩書きを名乗って電話してきて,FIRST不動産からカンボジアの不動産を買って欲しい,その権利を買い取ります,などといって私を信用させてお金を出させました。しかし,このような話は全くのでたらめで,そのような芝居をしながらお金を騙し取るのは,オレオレ詐欺と全く同じです。

また,いったん支払ったお金を取り返すためにさらにお金が必要だとして,私の被害をさらに大きくしていたことも許せません。●●(注記:現実にある商社の名前)の●●支店の人が絡んでいて,いかにも●●の人がいう金額を払えばお金を取り戻せるようなことを言って,さらに私に負担させようとしました。被害者である私をどこまでも食い物にしようとしていたのです。
最後は運良く,支払のためにお金を下ろしに行った●●銀行で,銀行員の方からおかしいと指摘されて,私が被害に遭っていることが分かりましたが,もし銀行員の方が声を掛けて下さらなければ,さらに1800万円もの大金をさらに支払わされるところでした。

現在は,弁護士の先生にお願いして対応をして貰っていますが,私1人ではどうすることもできない状態であります。被告人達には,十分反省して貰い,お金を全部返して貰いたいです。最近になって,被告人らの一部から被害弁償がなされましたが,合計しても,私の被害額からするとわずか1割程度という微々たる金額であり,到底許せません。もしお金が払えないのであれば,一生刑務所で働いてそこから返済して貰いたいです。


■次に、その他の被害者が述べたご意見のうち、ごく一部の要旨をご紹介いたします。
・預金等を全て騙し取られてしまったので、お祝い金などが必要な親族のお祝いごとを
心から喜べなくなってしまった。
・一生重い刑に服して欲しい。
・法律を厳格に適用して重い処罰をして欲しい。
・詐欺により地獄の底に突き落とされた。
・家族は今回の詐欺のことは考えるなと言ってくれるが、毎日が暗いお通夜の
ような悲しい日々が続いている。
・最近になって被害額のごく一部が賠償金として支払われたが、微々たる金額であり、到底許せない。
・老後の生活資金、自分自身の葬儀費用もなくなってしまった。葬儀費用の準備のため、
生活を切り詰めて、なんとか100万円程度は貯めたい。
・もともと体調が悪かったところ、このような詐欺被害を抱え込むことになり、精神的な
苦しみは甚大です。

■これまでの公判期日や、被害者の意見を聞いた今回の公判期日では、被告人らの
うちの何名かは法廷で、被害者に対して一生かけて弁償をしていく、1円でも多く
弁償する、などと述べました。
また、情状証人として法廷に立った被告人の家族の中には被害弁償に協力して
いくことを法廷で誓約した方もありました。
これら被告人やご家族の方には、被害者の方々のお気持ちを胸にしっかりと刻みつけ、
被害弁償について有言実行して頂きたいと思います。